ご機嫌なドッグランから帰ると、お母さんがお父さんと電話で話している。
お父さんは仕事が忙しく、なかなか家に帰って来ない。
お父さんから電話を切られてしまったお母さんの機嫌は悪く、「夏休みに海に行きたい」とお願いをした賢二は「塾で一番になれなきゃ意味がない」と叱られてしまう。やけに、一番にこだわるお母さん。
お家には婦人が遊びに来ていて、今からアノン様の配信が始まるみたい。賢二は部屋に行くことを促される。
賢二の背が伸びていることに気付いたのは婦人のほう。「まだ子どもよ」と笑い飛ばすお母さん。甲斐性のある旦那さんと、聞き分けのいい子。アノン様にお願いすることなんかないんじゃない?と婦人が冗談を言うも、お母さんの顔は暗い。
お母さんが頼れるのはアノン様しかおらず、またお母さんの孤独を理解してくれるのもアノン様だけなんだとか。
このお母さんね~、脚本上だと悪者にあたるんだけど、彼女の人生も色々あるんですよね。
タイムカプセルに入れる「将来の夢」はまだ白紙のまま。賢二がきなこの散歩に出ると、いつかお母さんと勧誘した女がやってくる。
「おばさんっていうか、お姉さんっていうか迷ってるでしょ?…おばさんでいいよ」のすぐ後に、綺麗な目で「おばさん!」って言ってくる賢二が可愛さ余って憎さ100倍でしたね。
旦那さんの名前がケンちゃんだということ。足は、階段から落ちた時に手術をしたけど、ひきつってしまったことなどを話す。
女は賢二に「お兄ちゃんは何年生?」と聞く。賢二の名前に数字の「二」がついていたから。
賢二はひとりっこだと言う。
後半にもかかってくる台詞になるので、ひっかかりを作るのに照明をワントーン落としてセミの声が一気に大きくなるという演出。
エヴァとかウテナとか、あのへんの分かり易い変化を持ってきたかった。ファンタジーだと一瞬スポットで抜いてもいいんだけど、日常芝居だと難しいですね。
お母さんは会合で帰って来るのが遅いため、ケンちゃんは夕飯は自分で買うとのこと。
そんな賢二を不憫に思ったのか、女は買い物袋からアルフォートを出し、賢二にあげる。
「あ、今の時代、こういうのダメなんだっけ。ごめん、アレルギーとかあった?」って台詞が、今っぽいなぁと思いました。
昔は近所にお菓子をくれるおじちゃんやおばちゃんがいたけど、今は受け取っちゃダメって学校で言われてるらしい。世知辛いけど、しょうがないのかな。
「関わらない」と決めたのに、「何かあったら連絡して」と自分の連絡先を教える女。ちなみに後ほど出て来るんですけど、彼女の名前は「えま」と言います。
この表情、えまっぽくていい。
「おねえさんで登録するね」と言われ、ご満悦のえまちゃん。しかし賢二には、大袋のアルフォートを一緒に食べる友達はいない。そんな時…。
来た来た。夏休みを楽しむ少年が2人。
2人は夏休み直前に転校してきた賢二を覚えてはいるものの、ここは自分たちの縄張りだからあっちに行けと言う。
そして自由に遊びだす少年たち。後ろでじっと見ているケンちゃんがかわいい。
着替えだったので彼らが舞台上で何をしているのかは全然知らないんですが、毎回終わった後に「間延びした」や「詰め込み過ぎた」と反省会をしているのが面白かったですね。
ついに賢二に絡みだした少年たち。すぐにきなこにボコされる。ケンちゃん絶対守るマン、きなこ。
きなこと一緒に散歩をしたいと言い出す少年たち。このカラッとした切り替えが、いかにも小学生っぽくて好きだな。初めて少年たちが賢二を「賢二!」と呼ぶところを立たせたかったので、山口さんには大きめに呼んでもらいました。友達になった瞬間。
「おれ滝沢。タッキーでいいよ」「おれ今井。つばさでいいよ」っていう台詞があるんですけど、ふたりともサラッと言うんですよね。台詞だけで面白いから、流した方がいいと本能で気付くぐっさんと林、さすがだよ。
ダンスとか物マネをいれると途端に寒くなると思う。
友達ができたことを喜ぶケンちゃん。でもきなこは放っておかれて不満そう。今日はまだ遊び足りない様子。
ついには「散歩拒否のポーズ」。最初の稽古では実際にリードをつけていたんですけど、絵面的に良くなかったので、リードはマイム。犬役だけど、演じているのは人間なので、視覚的な配慮かな。あと、普通に誰かに首輪を引っ張られるのは怖い。
しかしながら、稽古では「もっと私を犬みたいに扱って」というやばい発言が飛び出したのを思い出します。迷走していたのかもしれない。
ササミを買ってもらえると聞いて、笑顔になるきなこ。
ここから、ケンちゃんときなこの最後の楽しい夏休みがはじまります。
明日は仲良くなった少年たちと、お父さん登場です。また見てね。