kimitojacuzzi Anniversary

水戸を中心に活動するキミトジャグジーの記念ブログ

おもいで④ 「演技指導」

本日は、安島崇くん台本「演技指導」の振り返り、後編です。
この台本は照明が凝ってたんですよ。

首藤の夢の中での殺戮ショーはまだまだ終わらない。
この殺戮ショーは駒ちゃん考案。
山小屋の怪談(四隅をひとりずつ順番にまわっていって、最後一人多くなっているという怖い話)から着想を得たそうです。怖い話のために、怖い話からネタを仕入れるというストイックさ。これが駒野。

シーンを作っている最中、駒ちゃんのおくちから「〇玉をぐりぐりってやってください」とか「〇わたを引きずり出してひっぱってください」とか不穏な言葉が次々と出て来るもんだから、怖くて泣いちゃった。

ひとりだけ暴力の解像度が怖いと言われたシーンですが、ふたを開けてみたら暴力の解像度が高かったのは演出助手の駒ちゃんってことです。今見るとちょっと笑ってるね(笑)
首藤くんが一生懸命台詞を言ってるのでそれの邪魔しないようやったつもりだけど、彼がどう思っていたかは分かんないです。殺戮ショーの首藤の台詞、一回だけ代役で言ったことあるけどめちゃくちゃ難しかった。

執筆協力の台本は三池さんにも送ってそれに対するコメントをもらったんですけど、その際にキョンと安島くんから三池への質問も貰ってて、ふたりとも当たり障りのない質問をしてくれてて、三池が「もしかして気を使われているんじゃないか」と気にしていて笑いました。いや、気にするだろ。18年も謎を纏いやがって。

殺戮ショーはおわり、主演女優がお客様にお礼をのべる。
そしてひとこと、「分かった?こうするの」と呟き、客席を見据える。
これも安島くんと答え合わせをしていないのでこの演出が正しかったのか分かりませんが、今話題の【八柳夜】意識でやらせていただきました。

台本上だと

織笠    「―わかった?こうやるの。」

と書かれている。この「―」部分に何を詰め込むか。多分不正解ってなくて、でも正解はちゃんとある。今やったらまた違った「―」になると思います。演劇は生もの。面白いね。

ようやく目を覚ました首藤。「例の夢をまだ見るか」とメンバーに尋ねたところ、一気に空気が冷える。
ここって演出的に「気持ち悪く作りたい」とは言ったんですけど、声のトーンとか体の居方とか、最初に喋り出す友ちゃんに全員自然に合わせていったので、舞台上の空気が読める役者さんが揃ってたからできたシーンなんじゃないかと思います。
ずっとかかっていた音楽も消え、照明も1トーン落ちる。見た目は地味なんですけど、全員で息を揃えたシーンですね。

みんなはもう、あんな夢は見ていないという。首藤も空気を読んで「俺も最近は全然見ていない」と嘘をつく。
空気を読む…。団体行動をするうえでめちゃくちゃ大事だとは思うけど、空気読み過ぎた結果病んで芝居やめちゃうよりも、どこかで細かく発散したほうがいい。
長年やってると仲間内で褒め合わなくなるので、みんなも飲み会で「自分のよかったところトップ3」をあげてもらうといいよ。自己肯定感、あげてこ。

棘を含み、毒を孕んだ本音を内に押し込めながらも、今日も稽古は続く。
「仲が良いと思われている劇団」に対するアンチテーゼも含まれていた作品だったんじゃないでしょうか。
最後の友ちゃんや誉人がキミジャグを褒める、キミジャグも謙遜しないでそれを受け取る。でも内面は…的な。
殺戮ショー以外は逆にサラッと作った方が気持ち悪いんじゃないかと思いそう演出したので、今度安島くんと会ったらちゃんと感想を聞きたいと思います。

個人的には、キョン台本は全体を通して様々なやりようがある台本で、安島くん台本はひとつひとつの台詞に膨大な解釈がある作品でした。
座付き作家がいるとあまり他作家さん脚本の演出をとるという機会がないので、大変勉強になりました。やっぱり不条理演劇の演出とかもやってみたいな。
そんな話をしたら、三池さんは「キミジャグの締切日がまず不条理」と言っていたので、そのうち書いてくれることを願います。
この芝居が終わってから変わったことと言えば、三池さんがめちゃくちゃ素直になったことですね。なんだろ、心境の変化?「キミジャグcollection僕もでたい」って言ってたので、乞うご期待。

前半2つのお芝居が終わり、三池さんが「僕の考えた怖い話も聞いてくれる?」とお客様に問いかける。
そして、あの惨劇の幕があきます。

明日からは、「劇団であった怖い話」の振り返りです。
どうぞよろしくお願いいたします。