kimitojacuzzi Anniversary

水戸を中心に活動するキミトジャグジーの記念ブログ

おもいで⑮最終回 「劇団であった怖い話」

本日、「劇団であった怖い話」振り返り最終回!
なんだかんだ長ーく振り返りましたね。今年最後のお芝居だもんなぁ。

さて、脚本家の筋書き通り、おりかさはふたたび舞台上で、チラシの写真と同じ構図で命尽きる。残された役者はおりかさの遺言を繰り返す。
ここの動きは演出助手駒ちゃん考案。ぐるぐる回りながら、自分の台詞の時にセンターに入ってくるというシンプルなものだけど、演劇っぽいですね。

やがて照明は地明かりに。音楽も消え、糸が切れたように役者は元の役に戻る。そしてト書き通りに自分の役を消化していく。

たかひとがみんなに問いかける。
「死にたくないって言ってたじゃん、助けてって言ってたじゃん。あれは、 本心からの言葉だったと思う?役を演じていただけだったと思う?」
他のみんなは、言葉が出ない。
やがてたかひとも役者に戻り、ト書き通りに舞台上からはけていく。
役に戻る前にたかひとが鼻をすする音をひとつ入れてるんですけど、これ。これを入れられるか入れられないかなんですよ。自分の役の区切りをお客さんにも分かりやすいよう、できるかっていう…。まずい、評論家みたいなこと言っちゃった。
区切りって、ため息とかまばたきとか色んな方法があると思うんですけど、こういうのがすっと出来るとお芝居の質があがる気がします。最近大きな劇場でみたお芝居も、プロの役者さんはみんなやってらっしゃったので確信しました。区切り。大事なのは区切りだわ。

舞台上に残されたのはだいすけと、死んだ織笠。脚本に書いてあった部分はすべて終わり、舞台の幕はおりたよう。
「つまんなそーな芝居…」と呟く。精一杯の、脚本家への嫌味ですかね。
オープニングからおりかさの写真を撮り続けていただいすけ。織笠の死体をカメラで撮影しようとするが、その手を止め、ため息をつく。
ふと、織笠が起き上がる。

お腹の音がなってしまい、恥ずかしそうにする織笠。
美都子さんにSEで「お腹の音」を用意してもらったんですけど、最初に用意してもらったのが「グッキュルルッル!!グウ~!!」みたいに豪快なお腹の音だったので、「やりすぎです!」と、かわいいほうのお腹の音に差し替えてもらいました。普通にゲネで笑ってしまった。

おりかさは今までのことを覚えているのか、いないのか。三池さんから「微妙な顔で笑ってほしい」と言われていました。微妙な顔って難しいね。

これを見てだいすけは「あ、本物だ…」と呟く。
顔なのか、動きなのか、お腹の音なのか、何をもってして彼が本物だと感じたのかは分からず、もしかしたら脚本家がそう書いたからそう言っただけかもしれない。どこから脚本でどこから本当なのか分からないような終わり方にしたかったので、いつもみたいに「これで終わりです!」という感じにはしませんでした。あとは舞台の装飾となった壁の張り紙のストーリーへ移行します。この約4か月後、彼女は失踪するらしい。ここから何があったんだろね。全部の張り紙を見ると、失踪した理由、それを手引きした者の姿が見えてきます。これは謎解きが好きな方メインで楽しんでもらえれば。正解者というか、全部の謎を解き明かした方も何人かいらっしゃって、やっぱり全員プラザ企画でキミジャグを知ってくれた方でした。お見事です。

カーテンコール。はじめて脚本家と一緒に舞台に立ちました。

普段やってるファンタジーと演出のアプローチの仕方が全然違ったので、最後の最後まで勉強になりました。メタとかホラーで売ってる劇団さんのお芝居を見あさったりして、楽しかった。

一番大変だったのはやっぱりオペさんでしょうね。美都子さんに関してはオペ&台詞があったから、通常の公演以上に気を張った舞台だったと思います。照明オペをしながら音響のサポートをしてくれたのえちんも、みんなみんなお疲れ様でした。

これは小屋入りしたあとの稽古写真なんですけど、ここからまた一転二転したので、個人的な感想を言うと最後の最後までどう仕上がるのかが分からなかったお芝居でした。市民センターでの稽古→小屋入りしてからの稽古→照明・音響が入ってからの稽古→ゲネ→本番と、なんとなく全部印象が違かった。
喜劇のときもあれば悲劇のときもあって、残酷だったりコミカルだったりその日ごとに仕上がりとラストシーンのイメージが変わっていく感じ。
演出の先生には怒られてしまうかもしれないけど、実験なので。「まだまだ分かんないこと多いなー」と、これを糧に再び新しい芝居作りができそうな気がした公演でした。

実験は大変だけど楽しかった。18年越しの冒険だった。
以上、「劇団であった怖い話」の振り返りでした。長々とお付き合いくださり、ありがとうございました!
明日からは舞台装置や客席のはなしをちょこちょこっとしていきたいと思います。また遊びに来てね。