kimitojacuzzi Anniversary

水戸を中心に活動するキミトジャグジーの記念ブログ

代役のはなし

役者が稽古を休んだ時の代役の話。
役者をやっている方にはちょっと耳が痛い話かもしれませんが、一回聞いて下さい。

稽古をしているうえで、仕事が長引いたり具合が悪くなったり、お休みすることもあるかと思うんですよ。道路の込み具合とか、家の事情とかね。これはもうしょうがない。でもそうなると、必要になるのが代役。代役をやるにもいくつかパターンがあるかと思います。

演出が「〇〇の代役、あなたやって」というパターンもあるし、出番のない人がやるパターンもある。
代役をやる役者さんにも各々違いがあって

①本役の方の芝居をトレースするタイプ
②「私だったらこう芝居する」と自我を出してくるタイプ
③周りの芝居に影響がないよう、棒読みで台詞だけを発するタイプ

ほとんどは①のタイプじゃないかなと思います。通しとかだと、こうやってくれるとありがたい。
②のタイプも面白い。「この人はこの役を、こう解釈したんだな」と思う。あまりやりすぎると周りの役者さんの芝居が変わってきてしまうけど、それはそれでシーンの発展性が見えるので私はOKです。
③はね、優しい人とかスタッフさんに多い。休んだ役者さんに気を使ってるタイプ。

キミジャグは②が多い。むしろみんな代役をやりたがって、3人くらい一気にしゃべりだす時とかある。
それで演出に「いいじゃん」と言われたら、本役のキャストに「私、あなたの役をやって褒められちゃった!」とちゃんと報告します。うちのいいところは、嫌味をカラッと言うところですね。代役やったんだから、それくらい言って、全然いい。人によっちゃパワハラ扱いになっちゃうかもだけど。

代役嫌いな役者さんもいますよね。「自分の役に没頭したい」とか「なんで私が?」みたいな。これも、全然いいと思うんです。そう思うのは悪くないし、実際正論だと思います。

でも、誰かが稽古を休んだ時にいつも思い出すことがあります。
何年か前に演劇フェスティバル実行委員会の舞台でプロの役者さんとお芝居をした時があったんですが、その方は誰かが休んだ時、必ずといっていいほど率先して代役をやってくださったんですね。
「こっちがやるからいいですよ」というと「楽しいのでやります」と。
もう、目から鱗。このひと、本当にお芝居好きなんだなぁと思うと同時に、自分の引き出しがどれだけあるかの確認までしている、と。

キミジャグでも若い子がいる時は、率先して代役やりな、うまくなるからと言っています。
代役をやるってすごいチャンスだなと思うんです。
演出へのアピールもできる。私、こういう役もできますよって。

「積極的に代役やろう!」という話ではなく、こういう考え方も素敵だよね、という一意見ですが。

冒頭で「稽古を休むのはしょうがない」とは言いましたが、役を貰って稽古に来ないのは大罪なわけで。でも、大人だから分かる。気持ちは稽古場に行きたいけど、行けない時もやっぱりある。
キミジャグのメンバーは(今回のカンパニー全員ですけど)稽古には絶対来る人たちなので、「深海のパレード」ではあんまり代役はやれなかったかも。
みんな本当に稽古に来てくれた。日中マラソン大会に出場したのに、夜はちゃんと稽古に参加するとか。いや、その日くらい休んでいいよとこっちが思うくらい。

私と山口さんは、誰かに代役をやられたくないから絶対稽古行く、みたいなとこあります。「〇〇の代役、良かったよ~」と言われた時のぐぬぬ感。私の役は私のもの。誰にも触らせないという意地。

あと、皆勤賞だと舞台の神様に後ろめたくなく舞台に立てる。一回でもサボっちゃうと、「あの時サボっちゃったから失敗しちゃうかも…」とネガティブになっちゃう。気持ちの問題ですが。

でも、この話は団体にもよりますね。出番ない日は稽古に来なくていいよって劇団もあるもの。台詞覚えてないなら稽古場跨ぐなって演出もいるし。
本役の人より自分の方がこの台詞言ってるなと感じてしまったら、人間腹も立つだろうし、「いや、稽古行きたいけど事情があるんだよ」って人の意見も分かるし。
社会人でお芝居やってる人ならではのお話かもしれません。あしからず。


「あいつの役のあの台詞、言いてえ~!でもあいつ稽古場にいっつもいるから、代役できねぇ~!」幸せな悩みを持つキミジャグの最新公演、もうすぐだよ!!

kimitojacuzzi.hatenablog.com